タイトル通りなのですが、割とあちこちで見かける説なので今回はこれについて私の経験を基に考えてみたいと思います。
結論: 逆のような気がする
以前↓のような記事を書きまして。
まず、私の英語の発音は結構悲惨です。人間相手に話せばそれなりに理解してもらえますが、音声入力を使うとかなり粗いのが白日の下に晒されてしまいます。
しかしながら、私は最近Youtubeも映画DVDもかなりの割合で英語で見ていて、ものにもよりますが基本的に大体聞き取れています。しかし、聞き取れたものを自分で発話して音声入力してみると結構意図せぬ文が出て来たりします。
例えば、スターウォーズエピソード3に出てきた結構有名(?)なオビワンとグリーヴァス将軍のやりとりをやってみます。
オビワン: Hello there!
Star Wars: Episode III – Revenge of the Sithより
グリーヴァス: General Kenobi! You are a bold one.
私はこの台詞を完全に聞き取る事が出来ますが、自分で発音するとこう↓なります😇

音声入力って改行出来ないんですかね?😇
まぁそれはさておき、最初の"Hello there!"は出来てます。次の"General Kenobi!"も出来てます。問題はその次です。
"You are able to run(You are a bold oneって言ったつもり)"
"You are a bored one(大事な事なので2回言おうとしました)"
最初のは音が変なところで切れた結果全く意図せぬ表現になってしまいました。
2回目は若干マシになったとは言え、lのところをrで発音してしまっていることが分かります。
この手の例は枚挙に暇がなく、実体験としてどう考えても聞き取りより発音する方が難しいです。
私が超特殊な人間であるというのであれば一般的にはそうではないと言えるのかもしれませんが、私が超のつく特殊な人間である可能性よりはただの凡人である可能性の方が高いので、多分多くの人にとって聞き取りの方が自分で話すよりは簡単なんじゃないかと思います。
また、↓のような記事も書きました。
これまた、何一つ発音練習してないのにベトナム語とかその他外国語を大量に聞きまくった結果、自分でも知らぬ間に発音が上達していたという話です。
これらの私の経験から言うと、どう考えても「発音できる→聞き取れる」ではなく、「聞きまくる→発音が徐々に上達する」です。
そもそも発音が先に来たら子供は何も聞き取れないことになります
そもそもの話として、子供はまず母語を大量にリスニングし、その後に徐々に発話を始めます。「発音できない音は聞き取れない」のであれば、子供は何も聞き取れず、永遠に話せないことになりますがもちろんそんなことはありません。この場合、どう考えても「聞き取り→発音」の順しかありえません。
しかし、「子供はそうかもしれないけど、大人は違うでしょう」と思われる方もいるかと思います。
仰る通りで、子供は生後6か月くらいまでは如何なる言語の音も聞き取れて、その後は徐々に母語にない音の聞き取り能力を失っていきます。しかしながら、小学生くらいまではまだ母語のように外国語を身に付けることができるようです。この期間は「臨界期」などと呼ばれているようですが、いずれにせよ成人が子供のように外国語を身に付ける事は難しいと思われます。
が、ここでよく考えてみたいと思うのですが、確かに「大人になるにつれて外国語の聞き取り能力は衰えて」いきます。しかし、この理屈では「大人の方が子供より外国語の音を認識しづらい」以上の結論は出てきません。ここに突如「大人は自分で発音出来る音じゃないと聞き取れない」という論理が舞い降りるというのはシンプルに謎です。どこから登場したんだねチミィ、みたいな感じです。
理に沿って考えると、「大人の外国語の音を聞き取る能力は子供の頃より遥かに衰えていて、極僅か(ゼロに近い)しか残っていない」くらいが一番あり得そうなところです。突然発音と聞き取り能力の関係が入れ替わるというのは少々突飛すぎると個人的には思うのですが、いかがでしょうか。
まとめ
最近の自分の経験から、実は成人でもメチャクチャ聞きまくれば外国語の音をある程度自然に覚えられるのではないかと推測してます。
ただし、成人は海外で働いたりしてない限りは起きてる時間を全て外国語リスニングに当てたりは出来ません。子供と全く同じことしようとすると結果として物凄い時間を食うので無理です。なので、口の動きとかを知識として学んだ後にその練習をするというのは極めて合理的だと思います。
というわけで、ロジックとしては「大量のリスニング→発音上達」の方が個人的にしっくり来るというのが今回のお話でした。どちらかというと「聞き取れない音は発音できない」じゃないかなと。
なお、言うまでもなくこれは完全に私個人の経験則であり、学者のように大量の人間を観察して得た結論ではないので正しいかどうかは分かりません。
おまけ
最近ベトナム語の発音を音声入力で練習しているのですが、この方法には致命的な欠陥があります。確かに練習にはいいのですが、いざ人間を相手に喋ると自分の発音がちゃんとできているのかどうか全く確認できないため、自信が持てないのです。
この事から私が考えたのは、人間がある言語を習得しようとする場合、「まずは大量の音声を脳味噌に刷り込み、自分の発音を脳内に溜めたお手本の音に近づけていく」という作業を無意識にやっているのではないか?ということです。ネイティブの子供も、最初から完璧な発音で話すわけではありませんが、大人の修正が大して入らなくても徐々に自分の発音を改善していきます。これは自分で正しい音を認識していないと無理です。
私のベトナム語発音が謎に改善したのは、脳内にお手本の音が意図せず溜まっており、自分の口というか神経がその音が出るように知らぬ間に調整された結果なのではないか・・・と思っているのですが、推測の域を出ないのでそれ以上は何とも言えませぬ。