ぼんじゅーる! コマンタレ部??
というわけで(どういうわけだ)、タイトルにもありますが今回の記事では、Ankiというアプリを使って語学学習書に載っている文(単語ではありません)を全部覚えてしまおうという中々チャレンジングな学習方法をご紹介していきたいと思います。
Ankiとは
有名なアプリなのでご存知の方も多いと思いますが、まず最初にAnkiについて簡単に説明します。
公式サイトはこちら
簡単に説明、といっても私が一から説明するまでもないので、WikipediaのAnki記事を引用します。
Anki(アンキ)は、暗記のための自由/オープンソースソフトウェアである。日本語の「暗記(あんき)」に基づいて命名された。問題文と解答をペアにした暗記カードの問題集を自作し、それで学習することができる。
能動的に思い出すテスト(active recall)、間隔をあけた復習 (spaced repetition)、忘却曲線に基づいて出題頻度を管理することができる。1つのデータから複数のカードを作れるので、例えば和訳問題・英訳問題・リスニング問題を1つのデータから同時生成することなども可能である。
出典: WikipediaのAnki記事 (2021/9/30日現在)
また、アドオンが充実しており、無料で利用することができる。例えば中国語の学習用に漢字から音声とピンインを埋めるアドオンなどがある。
MnemosyneやSuperMemoに類似したシステムである。Ankiの間隔をあけた復習の間隔を決める計算式はSuperMemoのSM-2に基づく。
結構長く引用しましたが、簡単に言うとスマホやPCで使える単語カード的なものです。電子データなので音声や画像も使えるのも特徴です。また、各カードは正解率やら何やらをコンピュータが計算して同じ問題を適切な間隔で何度も出してくれるので、復習のタイミングを細かく考える必要がないのも重要なポイントです。
パソコンのWebブラウザでもスマホアプリでも使えます。
また、アカウントを作ってオンラインで同期できるので、複数デバイスでの使用も楽ちんです。
Ankiの使い方

まず、単語カードのような仕様ということで上の画像のようにカードを集めたデッキを作ることが出来ます。
正直私のこれはデッキ作り過ぎな上に、内容の区別も曖昧だったりとあまり質のいいものではありませんが😂
それはさておき、例えば"Vietnamese sentences"のデッキにはベトナム語レッスン初級(1巻+2巻)に出てきた例文と一部のフレーズが全て格納されています。クリックして開いた画面で"Study Now"をクリックすると↓みたいな感じでカードが開きます。

これのベトナム語訳をノートなり紙なりに書いてから、画面下にある"Show Answer"を押します。

こんな感じで回答が表示されます。
書いた文が間違ってたら下の"Again"を、正しく書けたけど単語や構文を思い出すのに時間がかかったり当てずっぽうで書いてまぐれあたりした感じなら"Hard"を、普通に書けたら"Good"を、余裕過ぎてしばらくやる必要ないわと思ったら"Easy"を押します。
この時に押すボタンによって、次にこのカードが出てくるまでの時間が決まります。Againなら10分以内、Hardなら15分以内、Goodなら1日後、Easyなら2日後です。なお、この期間は正解を重ねる毎に長くなります。例えば、何回も正解したカードであれば、Easyを押して次に出てくるまでの期間が2年後とか普通にあります。
また、"Vietnamese word"のデッキを選んで"Study Now"を押すと、こんなんが出てきます。

これまたベトナム語単語を書いてから答えを表示します。

こんな感じになります。
また、"Vietnamese"デッキは他と若干違う仕様になっております↓


こんな感じで、デッキの仕様によっては画像や発音も入れる事が出来ます。ちなみに、このカードは簡単すぎて"Easy"を押すと次に出てくるのが7.8年後になる模様です。
お勧めの使い方
さて、同じベトナム語でも「和文越訳」、「日本語単語→越語単語」、「画像↔越語単語+音声」のように複数のデッキを私は作って2年くらい運用してみたのですが、効果が一番高くお勧めなのは和文越訳です。今回はたまたま越訳になっていますが、英語を勉強してるなら英訳ですし、ドイツ語なら独訳です。
重要なのは文を丸ごと覚えるという事です。
数年試した結果分かったのは、単語は相方が日本語単語だろうが画像だろうがしばらく放っておくと瞬く間に忘却の彼方に消えてしまうことです。その一方で、文を丸ごと覚えた場合はしばらく放置しても完璧には思い出せなくとも完全に白紙になるほど記憶が溶けてなくなるということがほとんどなく、有用性が単語単体より遥かに高い実感があります。
文を丸ごと覚えると、文型、文法、単語や表現を有機的に絡めて覚える事になり、覚える時の負荷はかなり高くなります。その一方で、一度覚えてしまえば色々な要素で脳味噌に引っかかるので綺麗さっぱり消えてなくなるということはそんなに多くはなくなります。一部の単語などを忘れて穴が空いたりということはありますが、改めてその部分を覚えなおせば思い出すのもかなり簡単になります。
その一方で、単語や単一のフレーズはその場で覚えるのは負荷が少なく簡単な反面、使わずに放置しておくと途方もない速さで記憶が消えてなくなることも珍しくありません。結局長期的な観点から言えば文を丸ごと覚えた方が効率的です。また、文は必要に応じて一部を改変すればすぐに実用できるのに対して、単語だけ覚えていてもすぐには使えない事が多いです。
そんなわけで、お勧めなのは和文外語訳です。
ちなみに、語学の達人シュリーマンは教科書の例文どころかネイティブ向けのフツーの本を丸ごと一冊暗記するという常人には真似出来る気がしない方法で多言語を習得していたりします。
CD音源などがある場合は例文に音声もつけると効果的だと思いますが、私は音声編集が面倒なので文字100%で行っております。紙に文を書く代わりに口頭で文を言ってみるという使い方もできます。そのあたりは工夫次第でいくらでも改良可能なのがAnkiのいいところです。
デッキとカードの作り方
さて、ここからは実際にカードを作ってデッキを構成する方法を説明します。
私は最近フランス語の学習を始めましたので、フランス語のデッキを新しく作りたいと思います。

↑のように、デッキ一覧画面の下にある"Create Deck"を押すと、新しいデッキ名を入力する窓が出てくるので、ここでは"French sentences"と入力し、"OK"を押します。

出来たデッキをクリックすると↓のような画面が出ます。カードが1枚もない状態なので、上にある"Add"をクリック。

カードのタイプは何種類かありますが、両面ではなく、表→裏でしか使わない標準のものを使用します。

なお、例文は「新 フランス語レッスン初級」から引用しています。
![]() | 価格:2,420円 |


登録が終わったら後は前述したベトナム語のデッキと同じ感じで実際に使っていくだけです。
教科書の例文を丸ごと一冊分登録する
さて、これまで基本的なデッキやカードの作り方を説明してきましたが、本記事でお勧めしたいデッキのコンセプトがあります。それは
教科書に載ってる例文を最初から最後まで片っ端から登録する
という手法です。
肯定文と否定文は単独のカードを作って構いませんが、疑問文と回答の文はワンセットにするため、一つのカードに疑問文と回答文(Yes, no疑問文の場合はYesとNoの2つの回答文)を書くことになり、1枚のカードに多くて2~4くらいの文が入る事になります。


例外は対話文や長文などです。
短文が並ぶカードの中にいきなり長文が出てくるとげんなりしますし、長文をがっつり記憶するならAnkiを使わずとも時間と環境が許すときに教科書とノートを使って暗唱するなりしてゆっくり覚えれば良いのです。Ankiは基本的に細かなものをポンポンと覚えていくために使用します。
カードは基本的に「日本語→学習言語」のものしか作りません。自分で書ける文の意味が分からないということは起きませんから、「学習言語→日本語」の意味解釈の練習をする必要はないです。というかむしろ日本語訳は有害なのでしないでください。
練習問題なども片っ端から登録していきますが、ここでのポイントは、問題形式が穴埋めだろうが並べ替えだろうが語形変化だろうが、全て「日本語文→外国語文」訳の問題にしてしまうことです。
例えば、こんな問題があるとします。
日本語訳に合うように( )の中の動詞を直接法単純未来か前未来にしましょう。
「新 フランス語レッスン初級」 176ページより
Je (garder) vos enfants jusqu'à votre retour.
あなたが戻るまでお子さんたちをお預かりしましょう。
この問題は( )内にある"garder"を"garderai"に変えたら終わりなんですが、そんな程度では意味がないので、↓のようなカードにします。

要するに全文書ける(言える)ようにしてしまうのです。現実には一単語だけ上手に穴埋め出来ればOKという状況なんて試験問題以外では有り得ませんので。
また、学習言語の文章を和訳しろという問題も度々登場しますが、そういう問題はさっさと答えを見て、解答にある日本語訳文をカード表面に入れ、問題として記載されている学習言語文を裏面に入れます。
そんな感じで、色々工夫しつつもとにもかくにも教科書に記載されている例文は全て自力でひねり出せるよう、全文をAnkiで日々覚えていきます。
デッキづくりの際の工夫
なお、カードを登録する際には日本語をタイプした後に外国語キーボードに変え、外国語文をタイプした後また日本語キーボードに変え・・・というかなり面倒な作業になります。
これを克服するには、一度ワードか何かに日本語文を教科書の最初から最後まで順番通りにいれてしまうのがお勧めです。私は「ベトナム語レッスン初級1・2」の2冊でこれをやりましたが、文字の大きさ10.5でA4用紙60枚くらいの分量でした。打ち込み自体はだるかったですが一晩で終わりました。
その後、キーボードは学習言語のもののままにして、
ワードに入れた日本語文を表面にコピペ→教科書見ながら裏面に外国語文を入力
という作業手順になるため、キーボードを切り替える必要がほぼなくなります。
ただ、代わりにコピペ作業が入るので毎回キーボード変える方がコピペより楽だと思う方は普通に入れて行けば良いと思います。そのあたりは個人の好みです。
まとめ
そんなわけで、効率的に外国語を身につけられると個人的に思ったAnkiの使用方法をご紹介しました。
なお、教科書の文を機械的に暗記しているだけでは意味がないので、覚えた文構造や表現はどんどん実用して活きた知識として身につける事が肝要です。
実用に関しては以下の記事もご覧ください。