↑の記事で私と学校英語の関係について記述した部分があるのですが、今回はその補足です。
私と学校英語
個人的な話をすると、私が中高生の頃、英語は得意科目であり得点源でもありました。80点やら90点やらもよく取っていて、大学に行った後もそれなりに英語と接する機会がありました。が、大学卒業時の私は英検2級を取得していたものの「聞き取りも発話もほとんどダメで授業や英検の面接以外のフツーの状況では滅多なことでは会話が成立しない」、「英語の動画を見てもろくに聞き取れないし意味も分からない」、「大人が読む普通の洋書も英文ニュースもろくに読めない」始末で、義務教育のみならず高校大学の英語まで含めたあの頃の状態を「英語の基礎が出来ている」と形容して良いものか甚だ疑問です😇 私が10代の頃に掻き集めたあの80だの90だのいう数字の群れは何だったのでしょうか。謎です。
上記記事より引用
さて、個人的には学校でかき集めた試験の点数とか全く意味なかったなと思っているのですが(詳細は上記記事にて)、しかしこれらの勉強により「基礎が身につく」ということはよく言われています。
例えば、私が先日見た某記事には「TOEICで900点以上とったけどニュースは聞き取れないし会話は全然ダメだしネイティブ向けの本も読めない、でも基礎は身についた」というような事が書かれていました。要するにTOEICの勉強をしたところで大学卒業時の私より試験でいい点が取れる感じにしかならないということなのですが、あらゆる問題点が「基礎が身につく」という一言で異様にポジティブな感じに葬り去られています。
個人的には過去の自分を含め、「試験で点とる以外ほぼ何も出来ない」状態を「基礎が身についた」と言っていいものか大変疑問に思うのですが。
以前あちらこちらで「TOEIC800点を超えたらようやく洋書を楽しめる」とか「英検一級はスタート地点」などと言われているのを見たものです。しかし、私は英検2級以外ろくに何もない状態でいきなり洋書、英文ニュース、英語の動画等に突撃を繰り返した結果、それらをあまり問題なく読めるようになり、英語の映画も字幕なくてもある程度理解できるようになってしまいました。個人的には「試験勉強飛ばして最初から英語でなんかやればよくね???」と思っています。
むしろ色々やってしばらくしたら実力がどれくらい伸びたか計るのに試験を使えばいいと思います。私も韓国語がどれくらい出来るようになったか計ろうと思って、数日前にTOPIKの過去問を解いてみたりしました。
特に、TOEICに関しては開発者自身が「TOEICの勉強なんかするな」と仰っています。
そもそも基礎って何だろう
さて、事あるごとに強調されるこの「基礎」なるものはそもそも何なんでしょうか。基礎文法、基礎単語、etcと言われますが、それは教科書や試験勉強を必死にやらないと身につかないものなのでしょうか。
今、私の手元にある本を適当に開いてたまたま目に入った文を少し引用してみます。
"You'll be living up in some tree eating raw squirrels and picking off people with arrows. You know what my mother said to me when she came to say good-bye, as if to cheer me up, she says maybe District Twelve will finally have a winner. Then I realized, she didin't mean me, she meant you!" bursts out Peeta.
The Hunger Games 90ページより引用
たまたま目に入ったこのセリフ、いやぁすごいですよ。いきなり"wil be living up"とか未来進行形?が登場し、その後にeating... and picking...とか分詞構文?的なのが登場します。
なんでいちいち文法用語に「?」をつけてるのかというと、私はこの手の用語の意味を大して理解しておらず、自信がないからです。最後に文法説明を日本語でまともに読んだのがいつだったか思い出せる気がしません。分詞構文とか正確にはどんなのなのかよく分かってなかったりします。でも英語は読めますし聞いても大体分かります😇
で、文の続きを見ていくと、"my mother said... when she came to say..."と過去形と不定詞がぞろぞろ出てきます。saidもcameも不規則動詞ですね。その後に"as if to cheer me up,"なる表現が来てますが、私は"as if + 仮定法過去"みたいなのだけ記憶にあります。しかしas ifの後に不定詞をくっつけることもできるようです。その後に続く文が"she says maybe... will finally have..."と謎に現在形になっています。なんでそうなるのか文法的理由はよくわかりませんが、まぁ「母ちゃんが12区から初めて勝者が出るかもしれないって言ってた」みたいな意味なのは読んでれば文脈から分かります。その後の一文はフツーの過去形ですね。最後の"bursts out Peeta"はかの有名な三単現のsです。あと、Peetaが最後に来てますがこれは主語です。英語でもこんなドイツ語じみた倒置が出来たんですね(無知)
そんなわけで、ネイティブ向けのフツーの文章を大量に読んでいると不定詞だろうが比較級だろうが仮定法だろうが息するように山盛り出てきます。
そういう点を考慮すると、「基礎が身につくまでがっつり文法を!」みたいなのは不毛だなと個人的には思います。基礎文法を全く知らないのはあまりにも効率が悪すぎるんで、文法書をさらっとやってどういう特徴があるのか把握する程度はした方がいいと思いますが、その後は実際に英語が使われている動画や文章の中で慣れていく方がハードルが低いと思います。
例えば、私は以前フランス語の基礎文法を1か月くらいでがーーっとやったことがあります。で、大体のヨーロッパ言語って最後の方に仰々しい感じでラスボスっぽい雰囲気を醸し出しながら「接続法」とか「条件法」とか「間接話法」とかいうのを次々繰り出して来るんですよ。フランス語も例外ではなく、最後の方はこの接続法とかがブイブイ言わしてました。ちなみにドイツ語ではこの辺はほぼ全部接続法を使い分けるみたいな感じになってたりして混迷を極めます。
で、最後の方で登場したフランス語の接続法を相手に私はすっかり小さくなってしまって「怖いわー、戸締りすとこ」みたいになってたんですが、その後フランス語のニュースを読み始めたらこの手の接続法とか間接話法とか出るわ出るわ、マサラタウンのコラッタレベルです。一体私はこんな凡庸な表現の何をあんなに恐れていたのだろうと大変バカバカしくなりました😇
そんなわけで、私はここ数年間「基礎って教科書で必死こいて身に着けるような類のものなのかな??」と常々疑問に思っております。個人的には「頻出するんだから読んだり聞いたりしまくってたらそのうち勝手に覚える」くらいに考えています。
フランス語で試してみる
では、私が数年前に文法書を2周しただけのフランス語知識でフランス語ニュースで使われている文法項目に挑んでみたいと思います。以下をご覧ください。なお、本項のフランス語解説は間違ってる可能性が多々あります。
Le président français est arrivé dimanche au Bangladesh, où il a dîné avec la Première ministre Sheikh Hasina. Cette visite a pour but de consolider la stratégie de la France pour l'Indopacifique, cette vaste zone couvrant les océans Indien et Pacifique, théâtre de tensions internationales croissantes entre les États-Unis et la Chine, et où la France, forte de ses territoires d'outre-mer, entend développer sa présence au côté de partenaires régionaux.
以下Google翻訳した英語:
The French president arrived in Bangladesh on Sunday, where he had dinner with Prime Minister Sheikh Hasina. This visit aims to consolidate France's strategy for the Indo-Pacific, this vast area covering the Indian and Pacific Oceans, the scene of growing international tensions between the United States and China, and where France, with the strength of its territories overseas, intends to develop its presence alongside regional partners.
Emmanuel Macron au Bangladesh pour "consolider" la "stratégie Indopacifique" de la France
最初に目につくのは"Le président français"です。ははぁ、フランス語では形容詞は名詞の後につくようです。その後の"est arrivé"は確か現在完了形的な何かだったと思います。記憶が曖昧ですがフランス語では複合過去とかなんか違う名前だったような。移動を表す動詞の完了形なのでest(être,英語のbe動詞に相当)が使われていますが、多くの動詞ではavoir(英語のhaveに相当)を使います。その後に出てくる"où"は多分関係副詞で、英語のwhereに相当します。"il a dîné"も現在完了形で、先ほど挙げたavoir(ここではa)が使われています。
その後も"but de consolider"が"aim to consolidate"という不定詞的な表現を使っています。また、"cette vaste zone couvrant les océans Indien et Pacifique"にある"covrant"は確か現在分詞的な表現でここでは英語でいう"covering"みたいな意味になっています。
面白いのが"croissantes"です。どう見てもクロワッサンです。本当にありがとうございました。
出来るだけ実物使ってインプットをしよう
他にも細かいところを上げればキリがありませんが、こんな感じで実際の文をグーグル翻訳しながら読んでみるだけでも文法の教科書に載っていたことの実例を山のように見ることができます。教科書にはさも大事なことであるかのように仰々しく書かれていたことも、こうしてみるとごくありふれたよく使われている表現に過ぎないことが分かります。文脈に応じて使われる表現も変わってきますから、教科書に載ってる用法の説明とか規則とかを細かく暗記してる暇があったらガンガン実物を読んでいった方が最終的な定着率は高くなると思います。
最近は特に、オンライン記事、Youtube, Google翻訳、オンライン辞書、ChatGPTなど、従来の教材をひっくり返すようなテクノロジーが発達しており、基礎を実物経由で身に着ける土台はこれまでにないほど整っていると言っても過言ではありません。特に英語なんかはネット使えば最早どこでも何してでも学べるみたいな状態ですから、「基礎が大事だから…」とか言って単語帳とか問題集やるよりもネット上に溢れかえってる基礎の山に飛び込んでいった方がかえって基礎の定着に貢献するかと思われます。教材を使うにしても、字幕ついてる映像教材とかがオンラインには溢れているので使うのならそういうのの方が良いかと思います。
例えば、ドイツ語やポーランド語ならこんなのがあります。
自戒を込めて↓の記事にも書きましたが、「基礎を身に着ける」ために延々と試験勉強とか単語帳とか参考書とかをやるのって結局のところただ実践を恐れて先延ばししているだけにも思えます。他の人がどうかは存じませんが、私個人の話をすると、大体実践するのを先延ばしたいときについつい本屋の語学書コーナーに足が向いてしまいます。ここ数年は踏みとどまって余計なものを買わないように頑張っていますが。
最近は「英会話の実践を急がなければ!!!111」とか言いながらグダグダ言って一か月も先延ばしたり↓してましたので、「実践に飛び込むのは怖いし不安である」という心理は大変よく分かっております😇… でも別にゾンビサバイバルを何回もやるわけではありませんし、最初のハードルを乗り越えて慣れてしまえば後はそれなりにイージーモード化すると思います。
勇気を出してitalkiクレジットを50ドル分買ったら円安のおかげで8000円近く請求来てイージーモードどころじゃなかった
リーディングとリスニングだけなら今この瞬間からでもネットでタダで出来るので、参考書の山と戦っている方は気分転換だと思って実物を読んだり聞いたりしてみると新しい世界が見えるかもしれません。
ただし、何だかんだ言いながら私にもドイツ語やベトナム語の基礎勉強をがっつりやった時期がありました。しかし、時間にしてみれば実践に投じた時間の方が遥かに長かったと思います。基礎勉強だけがっつりやって実践を怠ったスペイン語やチェコ語はこれら2言語と比べるとほぼ全く身につかず、勉強したこともほとんど脳内から消滅してしまいました。(詳細↓)
私も受験勉強やら何やらである程度アレコレ教材使った基礎学習はしてきたのですが、唯一効果を感じたのはドイツ語とベトナム語でやった、教科書に載ってる大量の例文を片っ端から覚えていく方法だけでした。単語や文法項目をバラバラに覚えるのは最悪なほど効果が薄かった記憶があります。ただし、例文は覚えるだけでなく、積極的に使っていかないと忘れます。とにかく、教科書以外のところで少しずつでも長く使っていくのが肝要です。
まとめ
序盤に基本的なことをざっと学んだら、後は出来るだけ実際の音声や文章のインプットをすると良いかと思います。基礎は何度も出てくるのでそのうち覚えます。書くにしても話すにしても知らないことはアウトプット出来ませんから、必要なことはガンガンインプットしていきませう。
(ただ、アラビア語とかペルシア語とか表記されてる文字だけじゃどう読んでいいのか分かんない系のものは実物読むのをどうやればいいのかちょっと分かりません。最初は音から入った方が負荷が少なそうですが、やったことないのでああだこうだ言うのは止めときます😇)
ここまで書いて気づいたんですが、まとめで言ってることが↓の記事とほとんど全く同じです。なんてこったい。